OTC売り場に置いてほしい!「あなたに合った薬の選び方を教えます」

OTCって、なぜ訳の分からない成分がいくつも入ってるんでしょうね。

OTCでしかお目にかからない成分っていくつもありますよね。

グアイフェネシンとか…

と思ったら注射薬が存在するのを初めて知りました。フストジル静注ですって。

勉強不足ですみません。

なお、在庫消尽次第販売中止(2025年2月頃予定)の案内が出てます。

フストジル注射液50mg 販売中止予定のご案内|住友ファーマ 医療関係者向け

 

OTC関係者に、なぜ微妙な成分をいくつも入れるのか聞いたことがあります。

答えは、「たくさん入ってたほうが売れるから」だそうです。

よっぽどネームバリューのある成分や製品名、たとえばロキソニンとかガスターとかじゃない限り、

つまりが一部のスイッチOTC以外は成分がたくさん入ってることでお得感を出せるそうです。

そうでもしないと商談の段階でそもそも売り場に置いてもらえないと。

OTC関係者の一人の意見なのでこれがOTC業界の総意かどうかは知りません。

ただ理由の一つとしてはあるんだろうなと思います。

 

「いっぱい入れときゃ売れるだろ」と一般消費者をなめてかかっている、

OTC業界やドラッグストアにNoを突きつけたい!

ということでこの本をOTC売り場で誰もが手に取れるように置いてほしい!

といってもこの本、かなり情報量が多いので店頭でささっと読むのは厳しいかもしれません。

これを読み込んで、周囲に布教していこうと思います。

まずは自分の実家の薬箱から変えていこう。

 

出版社の羊土社さんはこのカプセルのキャラクターが好きですね。

以前ご紹介した「薬剤一覧ポケットブック」にも同じカプセルが登場します。

すぐに使いたい一覧が57項目も!「薬剤一覧ポケットブック」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

羊土社さん、旬のネタをつかまえるのが上手な印象があります。

ついつい手にとってしまいます。

応援したい出版社さんの一つです。

2024年6月発売の薬剤師関係の雑誌

さて、6月発売の雑誌をみていきましょう!

月刊薬事

6月号は「”何となく”で終わらせない薬剤選択 病棟での疼痛マネジメント」 

薬局

特集は「加算算定までつなげる!外来がん治療の「病-薬連携」

南山堂 / 月刊誌「薬局」

調剤と情報

特集は「大変革時代の到来 薬局・薬剤師の新しい価値を創る」

調剤と情報|株式会社 じほう

治療

特集は「ジェネラリストの外来戦略:得意分野を活かして差別化を目指す!」

 

どの雑誌も診療報酬改定を踏まえて、という感じの特集を組んでますね。

個人的に興味があるのは月刊薬事の疼痛特集。

神経障害性疼痛は以前からずっとフォローしてるトピックスだし、

「悩ましい場面での痛みと薬の使い方」に挙げられている

認知症患者への疼痛治療」も気になるし、

平田純生先生の「腎障害患者へのNSAIDs、アセトアミノフェンの考え方」は

やっぱり読んでおきたい。

 

あとは「調剤と情報」の「薬局・薬剤師の新しい価値を創る」は見ておきたい。

最近我が子が薬剤師になりたいと言い出しました。

嬉しい反面、

この子が薬剤師になる頃には薬剤師を取り巻く環境はどうなっているのだろう、

という不安も感じます。

その不安を少しでも解消すべく、

今回の「調剤と情報」はしっかり目を通したいと思います。

みなさん、料理は得意ですか?「その下ごしらえ、ホントに必要?」

 

私の母はよく次のようなことを言っていました。

「薬学部に行くような、化学実験が上手な人は料理も得意だと思うんだよね」

読者のみなさんはどうでしょうか。

料理は得意でしょうか。

 

私?

実験があまり得意ではなかったため、料理は得意とは言えません。

(何個ガラス類を割ったか…)

そして料理って結構適当な側面があると思います。

ひとつまみとか、味をみて調整とか。

お菓子作りだったら分量も加熱時間もきっちりレシピで決まっていることが多いので、

実験に近いかもしれません。

マンガ「きのう何食べた?」にも、

料理はイマイチだけどお菓子作りは得意な千波ちゃんって女性が出てきましたね。

 

さてこちらの本、料理のレシピによく出てくる「下ごしらえ」が

本当に理にかなっているのか、という観点で書かれています。

大根の下ゆでは意味があるのか、

枝豆の両端を切って塩でもんで塩水でゆでることに意味はあるのか、

レバーを牛乳につけてにおい取りをするのはなぜなのか。

それらの疑問に対して会話形式で謎解きがされていきます。

 

料理が化学なのであれば、手順も化学で説明ができるはず。

それを化学用語はあまり使わずに説明してくれる本です。

 

この本を読んでから、枝豆は真水でしっかりゆでて、おいしい塩を振って食卓に出してます。

枝豆がより気軽に食べられるようになりました。

まもなく旬を迎える枝豆、さっそく買いに行ってきます!

新人の頃に欲しかった!「薬剤師のための医療情報検索テクニック」

 

どの分野で働くとしても、薬剤師は広く能動的に情報収集すること、

また必要な時に必要な情報を迅速に検索できることが必要と私は考えています。

言い方がきついかもしれないですが、

「誰も教えてくれなかったじゃないか!」ではダメなんです。

 

本書で最もそれを実感できるのが、

第1節のコデインリン酸塩」の小児投与リスク、いつから知ってた?です。

業務上、授乳婦への注意喚起のあたりから積極的に情報収集していたこともあり、

個人的に思い出深い案件です。

 

2010年にイギリスMHRAが危険性に関して注意喚起していたとの情報、

私が知ったのはNIHS医薬品安全性情報でした。

https://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly8/20101111.pdf

日本語に翻訳して解説してくれているうえに、さらに根拠文献も明示してくれてます。

海外で注意喚起されたというだけでは、厚生労働省から指示が無い限りは

メーカーからの能動的な情報提供は期待できません。

聞けば教えてくれるとは思いますけどね。

だったら自ら情報収集しに行くしかない。

本件は日本で小児への注意喚起が行われたのは2017年です。

7年間、知らないままでいるか知ったうえで仕事するかの差は大きいと思いませんか。

コデインの件は私は上記のタイミングで知ることができましたが、

他の分野ではまだまだ情報収集できてないはずです。

幅広くアンテナは張っておかないといけない、と心から思います。

 

この書籍は、実際にありそうなQuestionを題材に、

どんな資料を使って情報を探すのか、

また得られた情報をどう評価するのかが会話形式で読みやすくまとめられています。

構成も、添付文書やIFなどの基本的な情報の活用から、

PubMedの検索の仕方、文献の評価の仕方へと無理なく広げられるようになっています。

大事なのは、読むだけでなく実際に同じ情報を自分の手と目で確認すること。

この本は2019年に発行されているので、今PubMedを検索したら

違う情報が出てくるかもしれない。

 

ほんとに、20年前にこの書籍があったらよかったのになと思います。

先輩のやり方をこっそり見て真似して自己流で身に着けてきたものが

こんなに体系的に、しかも寝転んで気軽に読める書籍になってるなんて!

 

今は大学でそのあたりも教えてくれるんでしょうか。

だとするとピカピカの新人よりも、

卒業して少したって情報収集・検索テクニックを磨いてきた方が

情報収集・評価の手順を整理するために使うのがよいかもしれないですね。

 

 

腑に落ちない「女子のための一生困らない「手に職」図鑑」

 

中高生をメインの対象とした本です。

きっと薬剤師は載ってますね、さてどんな風に書かれてるかな?ドキドキ!

 

興味のある分野から探してみよう!ということで、

次の章に分かれています。

  1. 衣食住を彩るものが好き!
  2. 旅行や外国が好き!
  3. アートや表現が好き!
  4. 自然・科学・コンピュータが好き!
  5. 人を育てる&ケアするのが好き!
  6. 地元や人の役に立つのが好き!
  7. 女性に優しい企業で働きたい!

さて、薬剤師はどの章に記載されているでしょうか。

 

4章でした。「自然・科学・コンピュータが好き!」の章。

この章には「ヘルス&フィットネス」として薬剤師のほか、医療事務員、歯科医師

歯科衛生士・歯科助手、マッサージ師、保健師などが掲載されてます。

 

5章か6章だと思ったんだけどな。

5章は先生とか福祉関係の職種、

6章は「医療」として医師・看護師・理学療法士などが掲載されています。

 

分類に釈然としない思いはありますが、

「薬剤師」がどんな風に書かれてるのか見てみましょう。

 

「こんな人にピッタリ」という項では次のように書かれてます。

教科のなかでは数学や理科が好きで、薬品を使った実験が得意な人に向いています。新薬が日々開発されるため、記憶力の良さや勉強に対する積極的な姿勢も問われます。

 

ちなみに「医師」の同じ項目は次のような記載。

医者の最初の仕事は、患者さんから容態や病状を聞き出すこと。老若男女問わず「いつから・どの部位に・どんな違和感ああるのか」を聞き出すコミュニケーション能力が必要です。

 

この2つの記載を見比べて、どのように感じられたでしょうか。

私は、著者は薬剤師は対物業務がメインである、と考えているんだろう

という印象を持ちました。

分類の仕方から考えてもそういうことなんでしょう。

2018年の書籍なので現時点で発行から5年以上経過していますが、

おそらく世間での認識は変わっていないものと思います。

イメージよりも人間くさい仕事だと思うのですけどね。

医療現場で働いてない私が言うのも何ですが。

 

病院・薬局以外にも「意外な場所で活躍する薬剤師」として、

製薬会社、化粧品会社、食品会社、保健所などの記載がされてます。

薬学というバックグラウンドがあると、いろんな場所で活躍できるというのは

中高生の皆さんにはもっと広く知られてほしいな。

いろんなフィールドで働く薬学部出身者を見たかったら、

日本薬学会ホームページの「薬学と私」ってコラムがおすすめです。

https://www.pharm.or.jp/pharmacy_and_i/

 

「女子のための」がメインテーマなので、

冒頭に

「女性のよくある人生3パターン(正社員・パート・専業主婦)」とか、

「再就職しやすい職業をおすすめする理由」とか、

「自宅で働く」という道もある、というような記載があります。

 

なんで、女性ってだけで自分の人生の手綱を自分で握れないんですかね。

状況に合わせて仕事を辞めるも続けるも自分の判断、

すなわち手綱は自分で握ってるではないかと言われればその通り。

でも自分の意思に反して仕事を続けられないかもしれない、

ということを前提に職業を選ぶというのも悲しいと思います。

娘が就職する頃には状況が変わっていてほしい。

 

そんなに簡単に現実は変わらないので、

現実的な落としどころという観点からいろんな職業をざっくり見たい人にはおすすめです。

 

ただ現実的な観点ならば薬学部も医学部も6年制だよ、というのは書いてほしかった。

お金もかかるし卒業するころにはストレートでも24歳です。

 

※薬剤師のページには以下の記載があるんですが、家計は大助かり…?ほんと?

薬に関する知識があれば、同じ効果を持つ安価な薬を選ぶこともでき、家計は大助かり。親の介護にも役立ちます。

 

 

 

患者さんの状況に涙する「外来・薬局感染症学」

感染制御や抗菌薬に関しては素晴らしい本や有名な本がたくさんあります。

ただそれらの多くが病院の視点から書かれたものでないでしょうか。

それを薬局だったら、と解釈してかみ砕いて理解していることが多いと思います。

 

この本はタイトル通り、薬局にフォーカスを絞って説明されています。

薬局ならではの感染対策、

処方せんと患者さんのお話から考える処方せんのチェックポイント、

最後にさらっと抗菌薬の基礎知識。

 

処方せんのチェックポイントは具体的なケースファイルを列挙して、

説明してくれています。

私がいいなと思ったのは、

まず基本的な症例(処方せん)を挙げて一通りの解説をしたあと、

「じゃあこれだったらどうする?」と類似の症例を挙げて

プラス1の解説をしてくれている点。

二段階を踏むことでより理解が深まります。

 

その症例の中で個人的に、

患者さんの状況を想像したら半泣きになりそうなのがありましてね。

授乳婦の項で紹介されてる症例です。

大雑把にいうと以下のような感じ。

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処方せんを持ってきたのは20代女性。彼女の母親がインフルエンザに罹患。

予防投与の処方箋を持ってきた。彼女には生後2週間の児がおり、授乳中。

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薬学的なアセスメントは本書をご確認ください。

 

生後2週間!

里帰りしてたのかそれともお母さんに来てもらってたのか、

そのお母さんがインフル!

生後2週間なんて退院して1週間と少し、疲れがピークの頃。

そんな時にお母さんがインフル!(もう1回言った)

よく…よく予防投与を思い出し、よく病院まで来たね…と

まずその点をねぎらってあげたい。

 

そんな具体的な症例がたくさんの書籍です。

 

日本薬学会の「ファルマシア」にも書評が載っていました。

外来・薬局感染症学

 

個々の感染症をかみ砕いて

説明できるようになりたいときは、忽那先生監修の一般向け書籍がおすすめ。

A.R.Eも感染症「マンガでわかる感染症のしくみ事典」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

感染制御に強い組織作りだったら坂本史衣先生の2023年の書籍もおすすめ。

魔除けになる?「泣く子も黙る感染対策」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

フィクションで感染症の恐ろしさを感じたい方はこちらをどうぞ。

コロナを忘れつつある今こそ読む本-感染ミステリー- - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

2024年5月発売の薬剤師関係の雑誌

  • 薬局

5月号は「腸内細菌となかよく 生きて腸までとどく薬学管理

南山堂 / 月刊誌「薬局」

  • 調剤と情報

5月号は「疑問を解決!挑戦!薬物動態Quiz」

 

調剤と情報|株式会社 じほう

  • 治療

4月号は「プライマリ・ケアにおける腰痛診療」

南山堂 / 月刊誌「治療」

 

まだ4月の雑誌も読み終えてないのに5月が半分過ぎようとしている!

5月の雑誌の中で気になるのは、

「薬局」の腸内細菌特集と、

「調剤と情報」の薬物動態ですね。

C.difficileや潰瘍性大腸炎に対する糞便移植(腸内細菌叢移植)の話題を見たばっかりなので、

そのあたりの理解を深めたい。

先日(2024/5/19)のNHKスペシャルでも漢方薬の薬効の差に腸内細菌叢が関与している、という話題が放送されていました。

今後、薬効を最大限に発現させるために事前に腸内細菌叢にアプローチする、なんて手段も出てくるのかもしれません。

 

「調剤と情報」は企画の木村利美先生の巻頭のことばが耳に痛い。

薬物動態学は薬剤師が専門とする分野であり、各医療職は学んでいない学問分野でもあります。しかし、その薬剤師が薬物動態学を苦手としていることも少なくありません。

 

日々是勉強。