本のそでから
もう、「読んだつもり」にはならない。
対象はこんな人
本を読みたいけど読めてない人。
どんな本を読んだらいいかわからない人。
目次
第1章 なぜ、読書は必要なのか?読書によって得られる8つのこと
第2章 「読んだら忘れない」精神科医の読書術 3つの基本
第3章 「読んだら忘れない」精神科医の読書術 2つのキーワード
第4章 「読んだら忘れない」精神科医の読書術 超実践編
第5章 「読んだら忘れない」精神科医の本の選択術
第6章 早く、安く、たくさん読める究極の電子書籍読書術
第7章 「読んだら忘れない」精神科医の本の買い方
第8章 精神科医がお勧めする珠玉の31冊
感想
精神科医・樺沢紫苑氏の2015年の本です。
普段本を読まない人向けに、大きく三本の柱で解説されています。
- なぜwebで簡単に調べられる時代にあえて読書が必要なのか?
- ではどうやって本を読んだらいいのか?
- そもそも本ってどうやって選んだらよいのか?
「なぜ読書が必要か」では読書によって得られることを8つ説明されています。
「脳を活性化」や「自己成長」などが紹介されているのですが、
8つの「得られること」の中で、私が認識していなかったのは「健康」。
本を読めば、ストレスと不安から解放される
樺沢氏は、「人間の悩み事というのはほとんど全て既刊の本に書かれている」
「読書家は問題に直面しても本を参考にして早期のうちに解決してしまう」
と説きます。
ただ一方で、次のようなことも言っています。
悩みの渦中にいる人は問題解決のために本を読もうとしない、
その大きな理由は「それどころ」ではないから。
普段から本を買う習慣、本を読む習慣のない人が、病気になり切羽詰まった状態で本を読めるはずがない。
トラブルに直面した時、解決手段を複数持っておく、解決手段があることを知っているというだけで精神は落ち着きを取り戻せます。
この観点はさすが精神科医だなと感じました。
また読書のメリットとしてもう1つ、
私自身が普段から感じていたことを言語化してくれた!と感じた箇所があります。
本の中では「仕事力~『料理の鉄人理論』」として紹介されています。
「料理の鉄人」(懐かしい!)で、なぜ鉄人たちは60分で素晴らしい料理が作れるのか。
それは料理人の腕に加えて、会場である「キッチンスタジアム」に必要な材料が準備できているから。
食料の買い出しから始めてたら60分では間に合いませんよね。
普段からの読書で、自分の頭の中に「キッチンスタジアム」を準備しておく。
すなわち、材料である知識や情報は頭の中で整理して並べられている状態を作っておく。
私は以前から頭の中の「引き出し」を多く持ちたい、という意識を持っていました。
何かに遭遇したときに、
「どこかで聞いたことあるな?このあたりの引き出しかな?」という感触をつかんでおきたい。
「あの人に聞けば何かしらヒントがある」と言われたい。
それを言語化してくれたのが、この本の「仕事力」という項目でした。
問い合わせを受けたときに、0から調べるのと、
だいたい資料の当たりがついてるのでは回答までに要する時間が大きく変わります。
迅速な回答ができること。+αの情報提供ができること。
それが本を読んで得られる「仕事力」なのだと思います。
「どうやって本を読んだら」はこの本を読んでもらったほうがよいと思うので
あえてここでは触れません。
最後の、「どうやって本を選んだら」の項で
私が印象に残った箇所をご紹介します。
「本を選ぶ際に大切にしている『基準』」として、4つ紹介されているうちの1つです。
広く、深く、バランス良く読む~「温泉採掘読書術」
「広げる読書」ばかりしていると雑学王のように幅広くいろいろなことを知ることはできますが、いつまでたっても何かの専門家にはなれません。
一方で、「深める読書」ばかりをしていると、自分の専門領域については圧倒的な知識を持っているものの、それ以外の領域は全く知らない「専門バカ」になってしまいます。
「広げる読書」と「深める読書」、そのバランスが重要なのです。
私はどちらかというと「広げる読書」の割合が多めです。
薬剤師という職業がそういう傾向がないでしょうか。
ジェネラリストでありつつ、スペシャリストも求められる。
その中で「広げる」「深める」のバランスが重要ということに深く納得しました。
このブログで紹介している本も多分野にわたっています。
ただ「薬学」という大きな根っこでつながっているので、
表面上関係のなさそうな事柄が急にスイカゲームが連鎖するときのように
ぽぽぽぽぽん!と繋がってくることがしばしばあるのが
おもしろいところだと感じています。
個人的には「精神科医の本の買い方」の章がおもしろかったです。
年間の図書予算を先に確保しちゃおう、というやり方です。
何円に設定したものか…
「本を読んだほうがいいのは分かってるんだけどね」という方、
だまされたと思ってこの本を読んでみてくださいね。