本のそでから
超実践的作文入門
日本語で理系の文章・文書を書くときに知っておきたい基本的な心構え、テクニック、コツなどを伝授する。著者の経験談を交えた軽妙な語り口で、深く考えなくてもすぐに体得できるハウツーを満載。学会発表の要旨、論文、申請書、解説記事など、あらゆる場面で役立つこと間違いなし!
目次
第Ⅰ部 目的 何のために書くか 理系人生で求められる4種の文書
- 学会の要旨
- ペーパー(投稿論文)
- 研究費の申請書
- 解説記事
第Ⅱ部 方法 どうやって書くか 46の鉄則
<基本>の鉄則1~7 理系文書を作る心構え
<語句>の鉄則8~21 文の部品の使い方
< 分 >の鉄則22~31 段落の部品の作り方
<段落>の鉄則32~37 文書の型の作り方
<文書>の鉄則38~46 段落の形式の整え方
おまけ1~3 世の中の渡り方
第Ⅲ部 解析 文書を作ってみる パラグラフ・ライティング
こんな人におすすめ
これからレポートを書くぞ!という学部生
理系の文章のルールを知っておきたい人
文章を書くのが苦手だなという人
感想
これは読んでよかったです。
ハウツー本とはいえ、もっと堅苦しいビジネス書っぽい内容かなと思っていました。
が、「はじめに」のタイトルが「誰も直してはならぬ?!」。
失敗談2連発から本が始まります。
寝転んで、気軽に読めそうな感じが伝わってきます。
しかし教授から「君は失礼な人だ」だけ言われて電話が切れた、
なんて事態には遭遇したくないものです。(詳細は本書をご確認ください)
日本語でも英語でも文章は書くだろうけど、
日本語で書く場合のハウツーを伝授するね、という立ち位置の本です。
まず第1章では理系文書にはどんなものがあるのかの説明。
「理系」だって研究や仕事を進めるには文章を書かないといけないのです。
第2章はこの本のメインである46の鉄則がそれぞれ1~3ページを使って説明されます。
文書は語句⇒文⇒段落⇒文書の積み上げだ、という定義がされた後、
読み手を想定して書け、起承転結を忘れろなどの心構えの鉄則が7点。
「思われる」「考えられる」は使わない、数字と単位の間にはスペースを空ける、
副詞や接続詞(「したがって」など)はひらがなで書くなどの語句の鉄則が14点。
否定形や疑問形を使わない、読点は上手に打つことなどの文の鉄則が10点。
1段落は3~6つの文で作るなどの段落の鉄則が6点。
タイトルをうまくつける、図表には題名をつける、引用文献の形式は揃えるなどの全体の鉄則が9点。
意外とね…医薬品の添付文書の引用文献でも表記が揃ってなくっておいおい、というものがあるのですよ…
最後にノーベル賞を受賞したお三方の論文の一部を日本語訳したものを使って、
「構造解析」という名の段落解析。
実際の文章で見ると、「すんなり読める」というのが
どういう文章なのかが分かります。
「46の鉄則」の内容は大学1年生のガイダンスとか前期とかで教えてほしかった!
今のカリキュラムはそういう講義があるのかな。
文系だろうが理系だろうが、文章には読み手がいます。
その読み手に伝わらなければ意味がない。
自分の書きたい内容を相手に伝えるための「お作法」がこの1冊で寝転んで学べます。
文章を読むのが苦手な人も多々いるかと思いますが、
この本は一つ一つの項目が短いので読むのがそこまで苦にならないはずです。
そしてこの本の最大(?)の特徴は数ページごとに登場するおやじギャグ。
なんというか、うちの父と飲みながら話しているような気分になります。
おやじギャグが受け付けられない人はある意味しんどいかもしれない。
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