図が絶妙!「薬剤師のための ここからはじめる循環器」

本のそでから

こんなあなたにおすすめです

-循環器にちょっと興味がある、基本から学び直したい

-循環器は苦手かも…

-服薬指導に自信がもてない、コツを知りたい!

丁寧な症例の解説により

→処方の理由や病態が、やさしくわかる

→服薬指導のポイントが、具体的にわかる

→自信をもって、患者さんのフォローアップがはじめられる

目次

  1. 高血圧
  2. 冠動脈疾患
  3. 不整脈
  4. 動・静脈系疾患
  5. 心不全
  6. 血栓療法のまとめ

こんな人におすすめ

「本のそでから」に書いてある通りではありますが、

循環器初心者の方、学び直したい方

この本の推しポイント

なんといっても初心者フレンドリーな本であること!

分かりやすい図が絶妙なタイミングで示される。

場合によっては同じ図をくり返し見せてくれる。

ちょっと読みづらい用語や略語にはルビがふってある。

略語の前には必ずスペルアウト。

(単なる略語をポンって示されるより覚えやすいよね?)

雑記

循環器系は今まで関わる機会は多少なりともあったものの、

各薬剤を通じてちょろっと触れるくらいで体系的に勉強する機会がありませんでした。

必要に応じて循環器病学会のガイドラインを参照するけれど、

情報量が多すぎて初心者には難しい。

そんな私が出会えてよかった、この本。

 

特に私が苦手なのが心不全なので、第5章の心不全を中心に

どこがよかったのかご紹介します。

心不全の章は7項目に分かれています。

HFpEFに冠動脈疾患、心房細動、心筋症、弁膜症、

CKD合併心不全、そして腫瘍循環器です。

文章の読みやすさもさることながら、図がよいのです。

情報量が多いビジーな図もあるので、図だけ見て分かりやすいというわけではない。

あくまで本文と合わせて読むことで、最大限の効果を発揮するようにできています。

 

例えば、HFpEFの項に出てくるp223の図2「LVEFに基づく心不全の分類」。

HFrEF(ヘフレフ)とカタカナでルビを振ってくれてるのが嬉しい。

40%未満⇔40~50%⇔50%以上と数字で分類されてるのはよく見ますが、

心臓のイラストが併記されてるので心拡大と心肥大の違いが分かりやすい!

 

また、冠動脈疾患の項に出てくるp242の図7「HFrFに対する薬物/非薬物治療」。

Fantastic Fourを中心に、

そこから派生していく治療が矢印で飛び出していく図が理解しやすいです。

 

そして心筋症の項に出てくるp274の図2「心臓の形態的変化と心不全の関係」。

この図は先にご紹介したp223の図とほぼ同じです。

「ここまで読んでるんだからこの図の内容は当然理解してるよね?」という

圧を感じさせず、ほぼ同じ図をもう1回示してくれるこの親切さ。

もう大好きです。

 

ただ弁膜症のところでやっと出てくるp288の図2「心臓と弁の構造」は、

最初のHFpEFの病態の説明のところで出してくれてもよかったと思う…

 

腫瘍循環器の項は全くの不勉強でした。

小児がんサバイバーの死因1位は心臓合併症となってることも初めて知りました。

闘いのあと一定の期間を経過して、

フォローアップが途切れてしまうというのはまさにその通り。

そこでフォローができるのは病院・薬局の薬剤師であること、

とてもやりがいがある分野だと思います。

 

心不全の項だけでも推しポイントが書ききれないほど。

循環器系の知識がふわっとしてる方(私だけではないと思いたい)は、

ぜひ手に取ってほしい1冊です。

 

ついでに、

最後の編者プロフィールの記載が

いかにもユーモアあふれる羊土社さんだなという感じです。

 

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