本の紹介
生理を考えることは、人生を考えること。
著者のオリンピックでの体験や、多くの学びや対話を通じて見えてきた生理やその課題について医学的知識とともに伝え、また私たちが自らの人生にオーナーシップをもって過ごすためのヒントを届ける。
目次
1章 水泳が教えてくれた自分らしさと生理の大切さ
2章 学ぶことが人生の選択肢を広げる力になります
3章 生理を知ることは、今の自分と向き合うヒント
4章 今日できる一歩が、毎日を心地よく変えていきます
5章 人生のオーナーは、誰でもない自分自身
こんな人におすすめ
女性アスリートと関わる機会がある人
子どもたちと関わる機会がある全ての大人
この本の推しポイント
水泳選手の立場から、あまりにも軽視されている月経との付き合い方について
警鐘を鳴らしてくれています。
とはいってもアスリートだけの問題ではなく、
月経と付き合って生きていく全ての女性に向けた本です。
表紙の装丁も素敵。
雑記
「女性アスリートの三主徴」と言われる3つのリスクをご存じでしょうか。
エネルギー消費量に対してエネルギー摂取量が追い付かない
「相対性エネルギー不足」によって月経が来なくなる、
それが骨粗しょう症を招くというものです。
アーティスティックスイミングの選手は練習で5000kcalを消費してしまう、
というような話を聞いたことがあります。
いくら食べても追いつかなそう。
女性アスリートの三主徴はパフォーマンス低下や
その後の人生に大きな影響を及ぼす重大なリスクなのに、
様々な競技で「月経が来なくなってからが一人前」のような指導を受けた、
という話が聞こえてきます。
トップアスリートのインタビューなどもたくさん出てきます。
さすがにそんな指導は今は行われていない、と思いたいですが、
中高生の中・長距離競技者で鉄剤の注射が安易に行われている
という報道があったのは2018年、最近の話です。
https://www.med.or.jp/sportsdoctor/wp-content/uploads/2019/03/tetuzai_rikuren.pdf
体が大きく変化する10代を指導する側に
ヘルスケアに関する適切な知識が無い方がいる、という状況は
あまり変わっていないかもしれません。
この本では元競泳日本代表の伊藤華英さんが、
生理を知って、対処法を知ってより良い人生に向かって歩んでいこうという観点で
生理との付き合い方を話してくれています。
伊藤華英さんたちが立ち上げた「1252プロジェクト」は
1年52週のうち、生理は12週訪れるということに由来しています。
ところが伊藤さんの場合、月経期間中だけでなくその後も含めて不調になるので、
1ヵ月のうち心身ともにベストコンディションと言えるのは
わずか1週間程度しかなかったそう。
ある意味こちらも「1252」です。
そんな状況でも、なかなか相談はできなかった。
https://spo-tome.com/1252-top/
確かに小中学校で月経の仕組みは習うけれど、
月経との上手な付き合い方というのは教えてくれなかったように思うし、
小学校の教科書を見る限りは私たちの頃と大して内容は変わっていないようです。
であれば、アスリートでなくとも月経と付き合い始めた10代の子どもたちに
月経との付き合い方を教えていくのは私たち大人の責任だなと強く思いました。
「スポーツファーマシスト」という薬剤師の認定資格がありますが、
アンチ・ドーピングにとどまらず、スポーツを楽しむ女性のヘルスケアという観点でも
サポートができたらいいのになと思います。
スポーツファーマシストの実務講習がことしも始まりましたね。
受講期限は1/29(水)17:00です。該当の方(私だ!)はお忘れなきよう。
※2024/2/7追記
今後スポーツファーマシストは単なるアンチドーピングにとどまらず、
薬剤師の立場からスポーツをする人をサポートしていくという方向性のようですね。
楽しみです!
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