ドラクエっぽいタイトルだけどガチ解説の「薬草の本」

 

「やくそう」

 

ってどことなくドラクエっぽい雰囲気が漂いますよね。

 

「薬用植物」でもなく「生薬」でもなく「薬草」。

今回ご紹介するのは

「薬草」というゆるーいタイトルと、

サルが草を食んでいる表紙で手に取ってしまった本です。

本の紹介

世界の伝統医学は薬物療法が主流で、その主原料が植物、いわゆる薬草である。中国の伝統医学(中医)もその一つであり、中医が日本に伝わり発展したものが漢方である。本書では世界各地で利用されてきた薬草の歴史とともに、種類、活用法、効果・効能についてやさしく紹介する。2013年発行『おもしろサイエンス薬草の科学』の改題新版。

寄り道の科学 薬草の本 - 日刊工業新聞社 公式オンラインショップ|Nikkan Book Store

この本の推しポイント

この類の本はえてして

漢方生薬とか民間薬(ゲンノショウコとか)の説明にとどまることが多いのですが、

この本は古代オリエント文明から植物工場まで、

「くすりになる植物」の話題を網羅した本です。

一歩踏み出したい人におすすめ。

雑記

著者の佐竹元吉先生、

だいぶ前に私が漢方薬・生薬認定薬剤師を取得した時に

講師でいらしていました。

その時も「世界の薬用植物」みたいな講義をされていた覚えがあります。

 

CHAPTER1「人類と薬草の長くて深い関わり」では

中国、古代オリエント、インカ文明、古事記アイヌ民族という観点で

それぞれで使われる薬草が紹介されます。

薬学部では生薬学というより薬学史で習う内容です。

古事記因幡の白兎とか少名毘古那神とかね。

アイヌ民族と薬草の話を見たのはこの本が初めて!

エゾウコギとかは滋養強壮剤でよく見ますが、

イケマが万能薬扱いされていたとは知らなかった。

北海道大学とか北海道医療大とか、北海道の薬学部の薬用植物園は

やっぱり関東の植物園とは違う植物がみられるのかな。

いつか行ってみたいです。

 

CHAPTER2・3では漢方が紹介されてます。

CHAPTER4は欧米のサプリメント・ハーブの話。

漢方や中医学が体系的に理論づけられたのに対して、

ハーブはあまり体系だってはいない印象があるのだけれど

その違いはどこにあったのだろう。

 

CHAPTER5は毒にも薬にもなる植物として、

トリカブトなどの有毒植物のほか、

大麻、ケシ、たばこや脱法ドラッグに話が広がります。

 

そして最後CHAPTER6は「薬草を保護し栽培しよう」という章です。

おそらく著者の佐竹先生が最も伝えたいのはこの章なのかな。

薬草は「第二のレアアース」といわれていること、

法律の規制、新品種や遺伝子組み換えが行われていること、

植物工場での栽培が試みられていることが紹介されています。

まさに「薬草」の「今とこれから」。

有効成分を倍量含む生薬とかが栽培される日も近いのかもしれないですね。

あとは乾燥地帯でしか育たないカンゾウとかマオウとかが

国内生産できたりしたら中国に依存しなくてすむのかもしれない。

 

夢が広がる「やくそうのほん」でした。

 

ところどころ黒猫ちゃんが歩いたり足跡を残してるのがとってもかわいいよ!

個人的には「修治」ということばに毛を逆立ててる猫ちゃんが好き。

 

強いていえば植物の写真はカラーでみたかった

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