高校のときの化学の授業で、
ペットボトルの「PET」が「ポリ」「エチレン」「テレフタラート」の頭文字で、
エチレンとテレフタル酸からできるエステルがたくさんつながっている(ポリ)構造だ
ということを習ったとき、
急に教科書と自分の生きている世界が繋がった気がして
とても嬉しくなったのをいまだに覚えています。
その時の嬉しさを思い出す本、というか教科書を見つけました。
本というか教科書ですね。
「アメリカ化学会が贈る『化学が好きになれる本』」といううたい文句がついています。
「化学の教科書」というと無機→有機→高分子みたいなやつとか、
電子軌道の説明が最初に延々と続いて心が折れる…sp混成軌道…
みたいなあまりおもしろみが無い(失礼)のが多いと思うのですが、
この教科書は全く違う!
目次を見ると分かるのですが、
実生活に対応した章立てでそれぞれの場面の化学との関わりが紹介されます。
【上巻~地球感動編~】
第1章 携帯情報機器:あなたの手の中にある周期表
第2章 私たちが吸う空気
第3章 太陽からの放射
第4章 気候変動
第5章 水:最も貴重な資源
第6章 燃焼とエネルギー
第7章 さまざまなエネルギー源
【下巻~生活感動編~】
第8章 エネルギーの貯蔵
第9章 プラスチックとポリマー
第10章 料理の化学
第11章 栄養学
第12章 健康と薬
第13章 遺伝子と生命
第14章 誰がトンプソン博士を殺したのか?法医学的ミステリー
上下巻になっているのですが、
個人的には下巻が好きです。
特に第14章は総集編、
今までに上下巻で得た知識を使って殺人事件の謎を解く!
フルカラーで図表やイラストも多いというのはあるのですが、
本文がとても読みやすい。
翻訳臭さがなくて、大学を卒業してウン十年、
化学からずいぶん離れてしまった私でも苦労なく読み進めることができます。
ただ翻訳本ということでアメリカ臭さがどうしても隠せないのが、
そこかしこに入る「練習問題」。
例えば「第12章 健康と薬」p234にある練習問題。
「アスピリンのサイズアップ」というタイトルがついています。
心臓病を患っている友人は、医者から1日1錠のアスピリンを飲むように言われている。節約のため、友人は300錠入りの大きなアスピリンのボトルをよく買う。一方、読者はめったにアスピリンを飲まないが、お買い得品を見逃すことはできない。
a.アスピリンの”ジャイアントエコノミーサイズ”ボトルが、読者にとって友人ほどお得でない理由を説明しなさい。
b.あなたの意見を裏付ける化学的根拠を説明しなさい。
なんかいろいろ突っ込みどころがありません?
回答のヒントは「使用期限」、「アスピリンの加水分解」 です。
”ジャイアントエコノミーサイズ”ボトルって本当にそんなの売ってるのかなw
他にも食事と運動量の関係を示した項では
食事の例が
「ハンバーガー2個、ポテトチップス80g、アイスクリーム200g、ビール220cc」。
どんだけジャンキーな食事なんだ!
化学の教科書なのに、アメリカとの文化の違いも学べる
大変おもしろい本です。
教科書と実世界が一気につながって、高校生の頃の新鮮な気持ちを思い出しました!
ところで先日、国立青少年教育振興機構が行った調査で
日本の高校生の4割以上が「社会に出たら理科は必要なくなる」
と回答した、という報道がされていました。
調査結果はこちら↓
https://www.niye.go.jp/wp-content/uploads/2025/07/kagaku_gaiyou.pdf
個人的にはとても残念な結果です。
学校の授業が、実生活と結びついていない。
高校の教科書もそのギャップを埋めようと努力してる様子が見えるんですけどね。
科学のおもしろさ、実生活へどれだけ科学が貢献しているかを
大人から子どもへ積極的に伝える機会を
もっと多くしていく必要があるんだろうなと思います。
まずは我が家の小学生たちから。
夏休みは科学技術館にでも連れていくか!
