「本屋では買うべき本が光って見える」というようなことを仰ってました。
「光って見える」の域にはまだ達していませんが、
本屋さんに行くとなぜか目に入ってくる本ってありますよね。
普段なら全然読まないジャンルの棚、
目的のところに行くために通っただけなのにふと目に残る…みたいな。
装丁なのか、タイトルなのか、何が気になるのかはよく分からないけれど
そういう偶然の出会いがあるので本屋さんが大好きです。
そんな偶然の出会いで手に取った本をご紹介。
「ヘンな」「トンデモ」とは言いつつも、
中身は至極真っ当な研究たちです。
例えば、カリフォルニアのワイン業界を復興させるために設立された、
カリフォルニア大学デービス校のブドウ栽培・ワイン醸造学部。
ワイン造りの全ての工程の基礎知識と実習経験が得られて、
官能評価の授業でテイスティングも行われるとか。
ワイン特化ってすごい。
この学部、1/3の学生はワイン作りに携わる家の出身やワイン好きの家出身、
残りは他学部や他大学から転入してくるそうです。
高校生でワインを極める!ってなかなか言えないよね…
その他、いろいろあるのですが
私が気になったのはアメリカ・北ミシガン州立大学の「大麻の化学分析」。
急拡大する大麻業界の人材を育成すべく作られたのが、
その名も「薬用植物化学専攻」。
なんて素敵な響き!
勉強しているのは「ゴリゴリの化学」。大麻に限らず、植物中の化学成分の種類や含有量、植物から目的物質を取り出す方法、目的物質に応じた最適な分析方法、そして目的物質が植物の体外に出た後にどのように変化するかなどの専門知識や技術を身につける。
と紹介されているのですが…
あれ?これって薬学部の生薬学とか天然物化学、
場合によっては有機化学とか分析化学で習うやつじゃん?
既視感があるぞ。
日本では薬学部であっても普通は大麻やケシなどは栽培できません。
東京都の薬用植物園が栽培していますが、
学生時代に見に行った時は金網?有刺鉄線?の隙間から見る感じでした。
九州大学は薬学部で唯一、大麻草の栽培免許を取ってると聞いたことがあります。
とにかくそれくらい、日本ではなかなかお目にかかれない植物。
それを北ミシガン州立大学では栽培して、そこから成分分析する実習をやってるんですと!
やっぱり生の植物を見て、触ったことがあるのとないのとでは大きく違うんだろうな。
そして大麻はスカンクみたいな匂いがするらしい。
スカンクって臭いとは聞くけど実際に匂いを嗅いだことないから分からない…
関東近郊だと上野動物園と伊豆シャボテン公園にスカンクがいるそうです。*1
上野動物園のスカンクは臭腺除去されてるから匂わないんだってさ。
大麻に関しては、
日本では大麻を含む食品(グミとか)が水面下で流通していたという事件がありました。
エピディオレックスの治験が進んでいるという話題もあります。
植物から作られる、体に何らかの作用をおよぼす物質という観点でみると、
医療系職種のなかでは薬剤師が最も近いところにいるんだろうと思います。
少なくとも、乱用防止には重要な役割を果たすべき立場ではないでしょうか。
責任重大。
この本、最後の章は「日本にもある!変な研究」と称して
三重大学の忍者研究や、
九州大学別府病院の温泉研究が取り上げられています。
変な研究と言いつつも、大真面目です。
本の内容もそれぞれの研究に敬意を払って書かれていて読み応えがありますので、
「ヘンな研究」なんて馬鹿にして…とタイトルで食わず嫌いされませんよう。
よければこちらもどうぞ
2025年の薬学会の「ファルマシア」でドンピシャな記事がありましたよ。
まずはここから勉強してみるか。
危険ドラッグの有害作用評価に関する研究:合成カンナビノイドを中心に
写真・イラスト多用のほうがよければこちらがおすすめ。
子ども向けと侮るなかれ「ものすごい研究図鑑」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた
*1:出典:
