謎の花粉症薬分類表を信じる前に読んでほしい「副作用がなければ薬じゃない?」

スギ花粉が飛んでおりますね。

花粉症の薬というと、「眠くなる」イメージありませんか?

 

この時期、Xやインスタグラムでよく拝見するのが

縦軸に効果の強さ、横軸に眠気の強さをとった謎の抗ヒスタミン薬分類表。

あんなにはっきり分類できてたらありがたいのですが、

調べる限りあの表に明確な根拠は見受けられません。

その薬が「自分に」合う・合わないのほうが大きいです。

1日1回or2回、効果の強さと眠気のバランス、価格など

自分が妥協できるラインをぜひ見つけてみてくださいね。

 

「薬に詳しい人に聞いてみたいけどなかなか病院では聞けないな」

という話を集めたよい本を見つけましたのでご紹介。

専門家ではない一般の方向けに、

薬にまつわるいろいろな話題を紹介した本です。

表題の「副作用がなければ薬じゃない?」はその話題の一つです。

 

前半の、「薬を上手に使うには」とか「安全に保管するには」

とかは他の本でもよくあると思うのですが、

私が「この本、一味違うぞ!」と思ったのは「薬の廃棄」の項。

「薬が自然界の生態系に影響を与えることがある?」という項目です。

実例として紹介されているのが「ジクロフェナク(商品名ボルタレン)」です。

ネパールで推計30万羽いたハゲワシが、10年間で1,000羽程度にまで減少してしまった。

その原因がジクロフェナクだというんです。

牛が死ぬ間際にジクロフェナクを投与される

→ハゲワシが牛の死骸を食べる

→ハゲワシがジクロフェナクによって腎障害などを生じて死ぬ

という流れが判明して、

2006年にインドでは家畜へのジクロフェナク投与が禁止されたと。

 

飲んだ薬が排泄された後どこに行くかって、

抗がん剤なんかだと家族や医療従事者への曝露の観点で話題になることはあります。

あとは下水中の抗菌薬が水棲環境に影響をおよぼす、って話もニュースで見たことはありました。

でもジクロフェナクみたいなよく使う薬では考えたことがなかった。

 

これからの薬の開発では、

効果や安全性のほかに、環境中への影響も考える必要が出てきますね。

体の中で活性が無くなってから排泄されるような構造を考えるとか。

下水処理施設で除去できる構造なのかどうかとか。

この観点で薬を考えたことがなかったので、

これだけでもこの本を読んでよかった。

 

著者の阿部和穂先生は、

以前ご紹介した「薬の名前には意味がある」を書いた先生です。

その流れなのか、最後の章はまるまる20ページほどが

「薬の名前を知るには?」に割かれています。

なぜ薬の名前には一般名と商品名があるのか、

なぜカタカナなのか、

そして薬の名前を覚える方法はあるのか。

 

「カタカナの薬の名前を覚えられない」という相談、

私も受けたことがあります。

学生時代は私も薬の名前が覚えられなくて苦労しました。

薬理学のテストで「メサドン」が思いだせず「テポドン」と書いてしまったのは私です。

社会人となってからは実はそんなに苦労していないのですが、

その秘訣はひとえに「興味」なのかなと思います。

小さな錠剤1つをとっても、様々な情報がからみついています。

薬理作用や薬物動態、商品名にだって由来があるし、

場合によっては担当MRさんの顔が思い浮かぶ場合もあるし…

ただのカタカナと思うと覚えるのはしんどいのですが、

関連した情報が芋づる式につながるので覚えられるんです。

 

関連した情報なんて知らないよ!

カタカナ苦手だよ!

「ブタ・パスタ・チーン!って薬飲んでるよ!」 ※プラバスタチンと言いたかった

という方は素直にお薬手帳を持ちましょう。

自分が覚えてなくてもいいんです。

お薬手帳を見れば、医療従事者は薬の情報や、場合によっては症状の程度まで分かります。

 

ところで、この本は挿絵が結構入ってるんですが

挿絵の中の薬の名前に誤植が(笑)

「世界一高い薬剤」といわれる「ゾルゲンスマ」が「ゾルゲンズマ」になってます。

多くの方はカタカナの羅列は苦手だよね、というのがよく分かる誤植でした。

もしやこれは狙った誤植か…?

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