「役に立たない」は「無駄」なのか-正解率4%の第111回国試問題に思う

※今回は本の紹介はありません※

 

2月21日と22日は薬剤師国家試験でした。

受験生の皆様、おつかれさまでした。

薬剤師の方々がXで国試の問題を紹介してくださるので

毎年楽しみに見ています。

 

つい最近出たと思ってた薬がもう国試に出るのか!とか、

スポーツファーマシスト関連の話題も問題になるのかとか、

基礎系の科目はもうさっぱり分からんなとか、

いろんな思いで今年も国試の問題を見ました。

 

私が受けた20年ちょっと前と比べると、

必要とされる知識はべらぼうに増えてる。

こんな勉強をしてきた薬学生が社会に出てくるのですから、

4年制の時代の薬剤師も負けないように勉強し続けなければと

毎年この時期に気持ちを新たにします。

 

ところで、私の頃から生薬とか漢方はいわゆる「捨て分野」でした。

覚えることが多い割に、出題数は少ない。

まあ、気持ちは分かります。

 

今年の国試では、生薬末の顕微鏡写真から生薬名を答えさせる、

というマニアック、いやなかなか見ない問題が出ました。

知り合いの生薬の先生も驚いていたほど。

日本薬科大の先生のブログによると、

某予備校の速報値では正解率は4%だったそう。

実は私も間違えた

生薬学の四方山話 続・第111回薬剤師国家試験【問110】学内でも大きな反響が…。

 

当然ながらXでも非難囂々。

Xをだらだら見てしまった私も悪いのですが、

「やっぱり漢方とか生薬やってる奴ってひねくれてるんだよ」(意訳)

というコメントを見てしまい、かなりヘコみました。

 

天然物化学ならまだしも、

生薬とか漢方、薬学史が好きって

薬剤師のなかでは少数派だとは自覚しています。

研究室の同期やOBを見ても、

「我が道を行く!」タイプの方が多いです。

私も人のことは言えません。

でもさ、「ひねくれてる」ってひどい。

 

数年前の国試で

「長井長義によって世界で初めて単離されたのはどれか」

という問題が出たときも、

「長井長義って誰だよ(笑)」「薬剤師にその知識必要なのか」

みたいなコメントがたくさんありました。

その時も生薬の教科書の麻黄のところに載ってたじゃん!と憤慨しました。

 

今回の生薬の鏡検画像も、長井長義も、

卒業してからこの知識は使わない人が大半かもしれない。

でも「役に立たない知識を勉強するのが無駄」って言うのは違うんじゃないか。

小学生が「食塩水の濃度の計算なんて大人になってやらないじゃん」とぶーたれるのと、

高校生が「三角関数なんて社会に出たら絶対使わないし(笑)」とバカにするのと、

何が違うんですか。

 

どの知識が、どこでどうつながるか分からない。

特に薬学は学際的な分野だからこそ、思わぬ出会いが化学反応を産むことがあります。

だからこそ、知らない知識に出会ったら

「ここで出会えてよかった」と思いたい。

 

って偉そうなこと言ってますが

受験生にとっては「出会えてよかった」なんて言ってる場合じゃないですよね。

合格して薬剤師になったら、

新しい知識との出会いを楽しんで、おもしろがってほしい。

私もたくさんの本を読んで、たくさんの人と会って、

勉強し続けていきたいと思います。