生薬やってる奴はひねくれてる?否!「日本人はいかにして毒と薬を食べてきたのか?」

気が付いたら3月も中旬を過ぎておりました。

思えばこの1ヵ月、

「漢方とか生薬やってる奴はひねくれてる」という投稿を見て凹み

体重が過去最高を記録して凹み、

仕事が年度末に向けて大変忙しく……

となかなか本を読む気力が出なかった。

ブログを始めて約2年半、

ここまで本が読めなかったのは初めてでした。

 

が、私を救ってくれたのはやっぱり大好きな生薬絡みの本でした。

読んだのはこれ。

日本薬史学会会長、船山信次先生の新刊ですよ!

AmazonリンクだとなぜかKindle版しかリンクが貼れないのですが、

紙の本も出てます。

「ウナギ、コーヒー、酒、塩……これ、実は毒なんです。」という帯がついて

売られていて、ふと手にとったら船山信次先生じゃん!

 

船山信次先生、このブログでは過去に

「禁断の植物園」「民間薬の科学」など、

小ネタを存分にぶっこんでくる著書を紹介してきました。

 

今回の本では、

そもそも薬と毒、そして食べ物の境界線はどこにあるのか。

「薬食同源」「薬毒同源」という言葉で冒頭からその問いを突き付けられます。

 

古代中国の神農さまという神様は

1日にいくつもの草を舐めて、薬になるものとそうでないものを見いだしたとされます。

それをまとめたのが「神農本草経」。

その中で「毒がなく長く服用してもよい」(上薬)と分類されているもののなかには、

ミカンやゴマ、ハスなど現代では一般に食品とされるものが多く含まれています。

そう考えると、食品と薬の境界線は曖昧です。

 

一方で、人間、特に日本人は毒があると分かっているものも食べようとします。

フグだって毒のあるところを上手に取り除いて食べますし、

こんにゃくは下処理をしてから製品化されています。

毒と食品も、境界線は曖昧です。

 

さらに薬と毒の関係は言わずもがな。

毒は適量だけ使えば薬になります。

 

大変曖昧な食-薬-毒の関係の説明が1冊を通じて繰り広げられるのですが、

それらに時事ネタが関連付けられているのがこの本のおもしろいところ。

古くは森永ヒ素ミルク事件やコンフリーの流行、

新しいところでは大麻グミや小林製薬の紅麹まで。

さらには船山先生の個人的なネタ、

青森市の大学の宿舎に住んでいたときに住民11人中4人が痛風になった、

原因はおそらく安くて新鮮な白子をつい多く食べていたとか

そんな話が練りこまれていて思わず笑ってしまいます。

 

前にも書いた気がしますが、

私、船山先生の生薬学の授業だったら絶対に楽しく聞けると思う。

 

あっという間に読めた1冊ですが、

凹んでいた私に前を向かせてくれたのは

医療領域における専門職で化学を専門とするのは薬剤師だけである。

という一文でした。

 

薬剤師の業務が「モノからヒトへ」とうたわれて久しいですが、

薬剤師は「『モノ』の専門家である」という大前提は忘れずにいたいなと思います。

 

そして、現代の薬学は天然物からの有効成分抽出から始まってるんですよね。

だから漢方とか生薬好きでも「ひねくれてる」とか言われる筋合いないんだよ!

正々堂々と漢方大好き、生薬大好き、薬学史興味ありって言うぞ!

と改めて思わせてくれたこの本に感謝です。

 

少し投稿の間があいてしまいましたが、

あたたかくなってきたので開花したばかりの桜を眺めつつ、

本をたくさん読みたいです。

 

ところで星海社新書さん、今回初めて手にとったのですが

他にも魅力的なラインナップがたくさん。

さらに積読新書が増えてしまう……困った!

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