2026年6月発売の薬剤師関係の雑誌

6月は早々に台風がきて大変でしたね。

関東は来週にも梅雨入りとか。

 

さて、6月の雑誌です!

月刊薬事

6月号の特集は「併存疾患もまるごと最適化しよう 持病のある患者ががんになったら」

月刊薬事 2026年6月号(Vol.68 No.8) – 株式会社じほう

薬局

6月号の特集は「現場のリアルを「薬学」する 向精神薬の適応外使用」

南山堂 / 月刊誌「薬局」 / 2026年6月 Vol.77 No.7

調剤と情報

6月号の特集は「こっそり学び直したい薬剤師のためのホルモンの学校 2限目:副腎皮質ステロイド(内服)」 

調剤と情報 2026年6月号(Vol.32 No.7) – 株式会社じほう

治療

6月号の特集は「【第1特集】ハイエンド診察/【第2特集】児童虐待対応 現在地とプライマリ・ケアでできること」 

南山堂 / 月刊誌「治療」 / 2026年6月 Vol. 108 No.7

 

見どころ

6月はどれもなかなか興味深い。

 

月刊薬事は「持病がある患者ががんになったら」。

私が絶対に読むぞ!と思ってる記事は「糖尿病患者が、がんになったら」。

 

糖尿病治療ガイドライン2024によると、

がん患者が併存疾患として糖尿病を有する割合は20.7%だそうです。

https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/22.pdf

がん化学療法ではレジメンにステロイドが入ってることもあり、

制吐療法にもステロイドががっつり入ります。

ステロイドを減らして吐き気が強く出ちゃったら元も子もないし、

ステロイドで血糖は上がるだろうし…

患者さんお一人お一人に合わせて、としか言いようがないのだと思いますが、

難しいテーマです。

 

「薬局」はこれまた気になる「向精神薬の適応外使用」!

がんの制吐療法つながりでいえば、

オランザピンは少し前までは制吐療法には適応外使用でしたよね。

今は公知申請により添付文書に載るようになりました。

「適応外である」というリスクを超えて、

使う/使わないのジャッジをどこでつけるのか。

そこが分かる特集であることに期待。

 

「調剤と情報」はホルモンの学校…ってあれ?前もやらなかった?

と思ったら前回は2025年5月、1限目:女性ホルモン・男性ホルモンでした。

調剤と情報 2025年5月号(Vol.31 No.07) – 株式会社じほう

今回は経口副腎皮質ステロイド。

前回もなかなか良い特集だったので今回も期待。

そういえば医学書院のmedicinaが5月号はステロイド特集でした。

正確には「グルココルチコイド・免疫抑制薬・分子標的薬 Up To Date」。

medicinaはいつも読む雑誌ではないのですが、

何号かに1号はこういう薬に特化した特集を組んでくれるんですよね。

雑誌名の響きが好きです。メディチーナ。

 

最後は「治療」。

児童虐待対応とはこれまたタイムリーというか何というか…

これ以上はちょっと控えておきます。

 

もう30℃超え連発の地域も出てきてますね。

エアコンの試運転はお早目に!

我が家はエアコン起動したら水が垂れてきて大変なことになりました(T T)

防火帯建築とかけて長期収載品ととく「横浜防火帯建築を読み解く」

私の大好きな有隣堂のYouTubeで、だいぶ前に

「有隣堂 伊勢佐木町本店の世界」というのがあったんです。

youtu.be

神奈川大学の建築学科の中井邦夫教授(唯一の趣味は街中の建物をグチグチ言いながら見ること!)が、

横浜の有隣堂 伊勢佐木町本店の現在の建物に文句をつけまくる!という回です。

 

いや、グチグチ言いたくなるのが分かるほど、

昔の有隣堂 伊勢佐木町本店の意匠がすばらしい!

1956(昭和31)年築なんですけどね、

信じられないくらいオシャレなんですよ。

 

どのくらいオシャレかはもうこのYouTube見てください。

 

動画のなかで文句をつけまくってる中井邦夫教授は

「横濱建築」という素敵な本も出してるんですが

今回私が読んだのはこっち。

防火帯建築とは、

都市の防火を目的として、1952年に施行された耐火建築促進法に基づき指定された防火建築帯内に建設された主に3、4階建ての耐火建築物

だそうです。

横浜固有の戦後建築遺産である「ハマの防火帯建築」を芸術不動産として民間主導により活用していく取組を始めました! | 横浜市のプレスリリース

 

そんな防火帯建築について解説されたこの本、

建築とか都市計画とかの素人にはちょーっと難しい本なんですが、

第3章の「横浜防火帯建築の空間を読む」を中井邦夫先生が執筆されてるんです。

文章のテイストがYouTubeそのまま!

伊勢佐木町のご近所にある吉田町にあるビルを

ニューヨークのタイムズ・スクエアばりというと相当言いすぎかもしれないが

とか。

写真で見る限り、言いすぎだと思う(笑)

だって、これですよ?(下記URL参照)

タイムズ・スクエア…?

(今はデザイン変わってるようです)

https://www.homes.co.jp/archive/b-7009244/

 

この本に出てくる防火帯建築は住所を見ると有隣堂本店のすぐそばのものが多い。

横浜の古い建築というと赤レンガ倉庫とか神奈川県庁とかを思い浮かべますが、

この本に載ってるのはもっと市井の人々の「暮らしの場」としての建築です。

どれも、暮らしてる人の息遣いが聞こえてくるような建物。

 

そんな建物もだんだんと建て替わって新しいビルに変わりつつあります。

だって、建てられたのが昭和20~30年代。

数十年前に防火帯建築に住んでたという人の話を聞いたことがあるのですが、

その当時から水回りがちょっとね…大変だったよね…という内容でした。

 

防火帯建築ではないと思うのですが、

有隣堂本店のそばの不二家も取り壊しになってしまいました。

www.tokyo-np.co.jp

東京では昨年帝国劇場が、大阪でも松竹座が今月閉館になりましたね。

 

耐震性の問題などを考えると仕方がない。

でも、古い建築が失われるとき、

無くなるのは建物そのものだけではないと思うんです。

その建物に集った人々の思い出に建設当時の技術や意匠、

その建物がある風景が作る町の空気感もまるっと無くなってしまう。

 

そんなことを思いながら読んでいて、

ふと思いついたのが医薬品の長期収載品でした。

長期収載品とはざっくり言うと後発品が存在する先発品のこと。

長く医療現場で使われてきた薬たちですが、近年販売中止が相次いでいます。

最近一番衝撃だったのはブスコパン錠10mgの中止。

あんなに有名な薬が、無くなる。

少し前ですが、デルモベート軟膏やキンダベート軟膏の中止も驚きました。

 

2年前の選定療養費制度*1導入から、特に販売中止が増えている印象です。

選定療養費制度導入によってさらに長期収載品(先発品)のシェアが下がる

長期収載品だから薬価も安い

やめちゃえ!

って企業の判断として当然だと思います。

そして市場には後発品だけが残ります。

 

先発品には開発時の情報や、

上市してからも使用方法や安全性など、

メーカーがお金をかけて収集して積み上げてきた情報があります。

また、「この薬のことはあの人に聞けば何とかなる」みたいな人がたいていいます。

 

長く製造していれば製造ノウハウなどもあるはずです。

オートメーション化が進んで、製造の現場は均一化されている…と思いきや

古い薬ほど「コツ」みたいなのがあるんですよね。

 

その先発品が販売中止になると、

それらの情報は後発品メーカーには基本的には引き継がれません。

先発品の添付文書やインタビューフォームだってオンラインでは見られなくなるので、

今までのように見たいときに見るというわけにはいきません。

ましてや、外部公表されていない情報や文書化されていない情報は言わずもがな。

 

先発品が中止されたあとに後発品を使用していて知りたいことがあって、

十分な情報が得られなかったとしても

先発品メーカーはおそらく回答してくれません。

そのうち先発品メーカーでも人は入れ替わり、資料は散逸し、

そんな製品を売っていたことを知る人も少なくなっていく。

 

レガシーとして細々と販売されていくのが、

情報保全という観点からは理想かもしれません。

ただ、残念ながら現代においてメーカーにそんな余裕はない。

ブスコパン錠なんて薬価1錠6.30円ですよ。

うまい棒より安いんです。

そんなものにコストはかけられない。

 

防火帯建築とかけて長期収載品ととく。

その心は

「失われるのはモノ(建物・薬)だけじゃない」

(初めてなぞかけしてみた)

 

医薬品情報という貴重な資産が目の前で失われていくこの現状、

どうにかならないんですかね。

とりあえずささやかな対抗策として、

販売中止が発表された製品のインタビューフォームは即ローカル保存しています。

よければこちらもどうぞ

中井邦夫先生の「きれいな」横濱建築本。

今(2026年春)なら有隣堂で購入すると特典がついてきますよ!

【有隣堂限定版特典つき】建築ファンを虜にした『横濱建築 記憶をつなぐ建物と暮らし』が、新たな限定特典とともに有隣堂各店にて販売開始 | 株式会社トゥーヴァージンズのプレスリリース

 

 

*1:2024年10月導入。患者が先発品を希望する場合に特別の料金がかかる制度

おもしろそう!を逃がさないための「考える人のメモの技術」

お薬の世界は情報の流れがとても速いです。

新薬は次々出てくる一方、

馴染み深い長期収載品が次々退場していきます。

ガイドラインはどんどん改訂されるし、

おもしろそうな書籍も次々出てきます。

 

「薬剤師はジェネラリスト」とはよく言われますが、

それだけ全方面にアンテナを張って、いざという時に使えるように

たくさんのフックに情報をひっかけておく必要があります。

 

私は現場で働いているわけではないですが、

お薬業界の片隅にいるものでそのあたりの情報は追いかけておきたい。

一方プライベートだって読みたい本はどんどん増え続け、

作りたい料理レシピはどんどん増え続け、

行きたい場所もどんどん増え…

 

何が言いたいかというと、情報収集の対象範囲が広すぎるんですよ!

仕事もプライベートも!

 

Notionで一元化してまとめてみようとチャレンジしたこともあるのですが、

どうも私はアナログ、つまり紙で記録していったほうが頭に残るみたい。

 

ということでヒントを得ようと思って読んだのがこの本。

コクヨの人が書いた、「考える人のメモの技術」という本です。

この本、具体的なメモの取り方とかメモ例とかはほとんど出てきません。

なぜメモが必要なのかとか、

そのメモからどう自分の思想を広げていくか

とかが文字で説明されています。

なのに読んでいくと腑に落ちるんです。不思議な本。

 

私が一番印象に残ったのは「『貼る』のも立派なメモになる」という項で

「必ずやってほしいこと」として挙げられていた、

「記事に対する気づきメモを残すこと」です。

 

切り取っただけの記事はまだ自分ごとにはなっていない、

その記事を読んで気付いたことを記載することで自分だけの情報になる、

そしてこのメモを残さないと「この記事、なんで貼り付けたんだっけ」となりかねない、

と解説がされています。

 

私もおもしろそう、役に立ちそうって記事を

LINE KeepメモとかGoogleKeepとかにとりあえず入れて、

あとから見ても何だこれ?とかそもそもKeepに入れたこと忘れてるとか、

あるあるあるある。ありまくりです。

そこに「なぜ気になったのか」が一言加わるだけで、急に「自分の情報」になる。

 

この章を見て、ふと思いだしたのが尾石晴さんの本に出てきた

「モヤログをつけよう」でした。

モヤモヤを大事に育てていきたい「からまる毎日のほぐし方」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

今回はモヤモヤではなく「おもしろそう」などのポジティブな感情ですが、

その「おもしろそう」「役に立ちそう」を

確実に「見える化」するのがメモなんじゃないかなと思います。

頭の中でぼやっと思ってるだけだと、

あっという間に情報の波に流されていってしまうので

文字として頭の外に出してあげる、そして必要な時に取り出してあげる。

そのために「メモの技術」が必要なのではないでしょうか。

 

実際に、私の「読みたい本リスト」は本のタイトルだけメモしていた時よりも、

「なんでその本を読みたいと思ったのか」、

例えば「表紙が素敵すぎる」とかだけでも、ごく簡単にメモしただけで

実際に読むという行為にまで進む本が増えました。

 

ちなみに「表紙が素敵すぎる」とメモしたのはこの絵本。

いやー、このタコ、好みです。

 

膨大な情報が多方向から入ってくる現代、

アウトプットが大事とは分かっていてもどうしてもインプット過多になりがちです。

インプットした情報に一言、自分の思いや気づきを添えるだけでも、

何ならタグをつけるだけでも

アウトプットの第一歩にできるのではないか。

そんな思いにさせてくれる本でした。

 

※柚木麻子さんの5/20公開のエッセイでタイムリーなものがあったのでリンク貼っておきます。

「まさにカオス」「私の中の宇宙が可視化されているよう」

私もやってみようかな…

思い出の紙類、どう保存する?―料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子|本がひらく

スクラップを作るなら、月光荘のスクラップブックのサイズF5で両面テープを使うこと。

らしいですよ!

デコるつもり一切なしのスクラップブックだったら作れそう。

スクラップブックじゃなくてネタ帳というのかもしれない。

よければこちらもどうぞ

アウトプットの重要性が分かる本

習慣化の観点で再読!「学びを結果に変えるアウトプット大全」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

読んでも中身を覚えてない…の悩みを解消するヒントになる本

広げて深めていこう!「読んだら忘れない読書術」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

感じたこと、思ったことを日記として記録することの大切さがわかる本

ChatGPTで家庭血圧を捏造する夫をみて考えた「さみしい夜にはペンを持て」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

ちなみに私が使ってる「編集者が考えた〆切手帳」は

巻末にTODOリストが500個も用意されてるので

好きなだけ「読みたい本」がメモできますよ。

shimekiri-techo.words-inc.co.jp

 

ドクダミをきっかけに異文化を知る「移民時代の異国飯」

昔、大学の友人と行ったベトナム料理屋さんで

ドクダミがサラダとして出てきたことがあります。

青パパイヤのサラダの上に乗っていました。

 

見慣れたハートの形の葉っぱでしたが、

道端で見るものよりも葉っぱが柔らかい気がするし

香りもドクダミというよりセロリみたいな感じ?

だったので店員さんに聞いたところ、

これはドクダミで、

今までお客さんたちが食べていた他の料理にもいっぱい入ってましたよ!と

言われてびっくり仰天。

 

いやー、ベトナム料理ってパクチーをはじめ香り高い草が多いとはいえ、

まさかドクダミを生で食べていたとは。

 

ドクダミを食べたのはもう20年近く前の話となりますが、

最近ベトナム食材屋さんが家の近くにできました。

店内にはベトナム語(?)しか書いておらず、

出入りする人もおそらくベトナム人ばかり、というガチのベトナム食材店。

イートインもあって、ベトナム人っぽい方々がいつもいるのですが、

なぜかいつも店内に鳩がいるので怖くて近寄れずw

ここの店先によく分からない葉っぱ類がたくさん積んであるのを見ては

ドクダミ無いかな?と思っています。

 

私はほとんど海外に行ったことが無いのですが、

自宅がいい意味でも悪い意味でも「国際色豊か」なエリアにあるので

上記のベトナム食材店のような「ガチ○○」というのが周囲にたくさんあります。

 

ということで興味深く読めたのがこの「移民時代の異国飯」。

日本に来た移民の方が開いたお店に行って、

未知の料理を食べて、お店の人と食事をして、

日本にいながらにして海外旅行気分を楽しんじゃおうよ!という本です。

 

この本では、「日本の中で外国を感じられる移民の街」を紹介し、

どうやって店を見つけるのか、入店したら何を注文したらいいのかが紹介されています。

 

紹介されているのは東京の小岩、池袋(中華料理)、神奈川(タイ・ラオス)、

大阪(パキスタン料理)、愛知(ラテン)。

横浜の中区にタイの寺院があるなんて知らなかったよ!

 

コラムとして、「日本の○○ショップのおすすめグッズ」が記載されてるのが嬉しい。

中国・韓国あたりは情報も多いのでふらっと入ってもなんとかなるのですが、

ベトナムはこの前行ったお店では見た目ではフォーしか分からなかった!

この本によるとベトナムショップではインスタント麺は外れが無いそう。

あとは「ボーコー(BO KHO)」というベトナム風ビーフシチューの「素(もと)」、

他にもいろんなスープの素が売られているので日本の「鍋」感覚で使うといいとか、

エビ塩はマストバイだとか情報量多い!

 

友人家族とガチ中華の店で飲み会を時々やるのですが、

いつもハプニング連発。

・初見では入口がどこか分からない(段ボール山積みなので裏口かと思ったら入口だった)

・メニューにチャーハンとかあってほっとしてると急に「カイコの炒め物」とか出てくる

・店員さんに日本語通じない

・Googleレンズ大活躍(メニューや謎ドリンクのパッケージの解読…)

 

でもガチ中華、私の知ってる店は子どもに優しい店が多いんです。

子ども連れで家族ぐるみで数家族で飲み会をやろう!となるとついガチ中華を選んでしまう。

 

外国人が増えるということは決してきれいごとばかりではなく、

様々なトラブルも生じることは重々承知しています。

子どもの小学校も年々国際色豊かになってますが、

やはり言語や文化の違いによるトラブルは生じています。

 

日本では雑草や民間薬の「ドクダミ」がベトナムではサラダになってるように、

文化が変われば物の見方が変わる。

自分の見方と違うことをただ恐れるのでなく、

まずは「食べ物」から相手の見方を知ってみる、

それができるのが日本で「異国飯」を食べることだと思います。

 

来週の週末は本を片手にベトナム食材店のイートインに突撃してみようと思います!

※2026/5/31追記

ベトナム食材店、2週連続チャレンジしてみましたが、

1週目は臨時休業、

2週目は「すぐもどる」という書置きが入口に貼られてて入れず。

別のところで買い物して1時間後に戻ってみたけどまだ入れずに断念…

よければこちらもどうぞ

今回の本と同じ星海社新書。

いい本が多いレーベルですね。

生薬やってる奴はひねくれてる?否!「日本人はいかにして毒と薬を食べてきたのか?」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

ところでドクダミって遺伝的に光線過敏症を起こしやすい人がいるというのを読んだことがあるのですが、

ベトナムでは広くドクダミが食されてるってことは

光線過敏症を起こす人はそれほど多くないんでしょうね。

 

「ヤバすぎる毒の図鑑」を持って「超危険生物展」にGO!

上野の国立科学博物館で開催中の「超危険生物展」に行ってきました。

超危険生物展 科学で挑む生き物の本気

いやー、予想以上におもしろかった!

「肉弾攻撃系」と「特殊攻撃系」に分けて展示がされてるんですけどね、

「肉弾攻撃系」にもパワーファイター型だのキラーバイト型だのタイプがあり、

「特殊攻撃系」は猛毒型だの吸血型だのいろいろあるわけですよ。

 

それぞれの危険生物たちの剥製の横には説明が表示されてるのですが、

これが秀逸。

各危険生物の必殺技の名前とその説明が紹介されてます。

併せて、その生物により実際に起こった事件をスポーツ新聞風に取り上げてるんです。

 

たとえばオオアリクイの必殺技は「死の抱擁」。

人差し指と中指の長ーい爪で抱きつかれて動物園の飼育員さんが亡くなってしまったとか…

 

パワーファイター型「ミナミゾウアザラシ」の巨大さにびっくりし、

オオアナコンダの長さに昔見たB級映画を思い出し、

イタチ科の動物たちをみて「ガンバの大冒険」のノロイを思い出し、

人食いイリエワニのレプリカの巨大さに驚愕。6m超えですってよ。

最後のほうにいた「ヒメコンドル」は見上げる高さに剥製が設置されてるんだけど、

必殺技が「嘔吐」。ふと足元を見ると床が怪しい柄に!

 

動画解説も充実しています。

ヒクイドリが得意技「スパイクキック」でスイカを粉砕する様子や、

街に出てきちゃったミナミゾウアザラシが「ボディプレス」で車を押しつぶす様子が見られますよ!

 

我が家は子どもたち用に音声解説を借りましたがこれが正解でした。

解説パネルが独特なルビの振り方で、小学校低学年だと読めなかったんです。

常用外漢字だけルビってわけでもなさそうだったし、

どういう方針でルビを振ったんだろう?

大人でも歯や骨の名前はルビ無しでちょっと厳しいぞ…というものがあったり。

そもそもGWの大混雑で解説の前で立ち止まることが難しかったので、

音で解説を聞ける音声解説が子どもにはとても助かりました。

ちなみにナレーションは麒麟の川島さんです。

しょっぱなから川島さんが「キリンです」って紹介してて笑っちゃいました。

ちなみにキリンの必殺技は首を振り子のように使う「ネッキング」。

 

会期は6月14日までです。行ける方はぜひ!

 

ところで超危険生物展に行く前に子どもたちと一緒に読んでた本がありまして。

それがこの「ヤバすぎる毒の図鑑」。

図鑑と言いつつ、ハンディサイズで漫画の単行本くらいの大きさ・厚さです。

生薬学の船山信次先生が監修だから、植物中心なんじゃないの?

トリカブトとかさ、ヒガンバナとかベニテングタケとかさぁ…

と思ってたら半分以上動物でした(笑)

フルカラーで写真が迫力!

うっかりサソリとかクモとかのページを開いてしまうとヒッってなります。

これに出てきた動物、ほとんど「超危険生物展」で展示されています。

ヤドクガエルとか写真で見てると大きさが分からないから

剥製で見てびっくりしましたよ…

これで予習していったおかげであれも!これもこないだ本で見たやつ!となって

とても楽しかったです。

 

が、単なる動物図鑑で終わらないのが船山先生。

第1章で「毒」そのものの説明、

2~4章で毒を持つ植物・動物を紹介したかと思うと

第5章は細菌とウイルス。毒…?確かに毒…?

第6章は規制薬物。アヘンとかLSDとか、はたまた放射性物質やダイオキシンまで。

第7章は事件を起こした毒。地下鉄サリンに和歌山カレー事件にラスプーチン。

最後、第8章は毒が生んだ薬。コカインから作られた局所麻酔薬とかね。

 

いや…毒の定義広い!

毒かそうでないのかというのはどこにその境目があるのかなというのを

改めて考えさせられます。

生物は生き残るための戦略として毒を作り出し、

それが人間にとって有用であれば薬になるし、

作用が強すぎれば「毒」と呼んでいるに過ぎないんですよね。

 

自然の営みの中では人間ってなんてちっぽけな存在なんだろうな、

自然のごく一部をすこーし利用させてもらってるにすぎないんだな、

と「超危険生物展」とこの本を読んで思いました。

 

「超危険生物展」は大人も十分楽しめるのでぜひ!6月14日までです!

よければこちらもどうぞ

船山先生の本たち

こんな授業を受けてみたかった「禁断の植物園」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

植物小ネタ大好き!「民間薬の科学」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

生薬やってる奴はひねくれてる?否!「日本人はいかにして毒と薬を食べてきたのか?」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

野草を食べるときは必ず同定してから

怪しいと思ったら食べない!「野食ハンターの七転八倒日記」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

毒のある植物

薬剤師は魔女なのか?「禁断の毒草事典」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

なぜ学校でジャガイモ食中毒が起こるのか?「植物はなぜ毒があるのか」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

ちなみに私の小学生時代の愛読書はこれでした。多分両親の本棚にあったやつ。

薬用植物学&生薬学好きの原点は今思えばこれですね。

難波先生と御影先生が書かれた本だったのを今調べて初めて知りました。

 

2026年5月発売の薬剤師関係の雑誌

いつのまにか5月になってた。

若干仕事が立て込んでおりまして、

連休中も自宅で仕事をする予定です。

「旅行もせず家にいる」は「仕事をしたい」とイコールではないのですが、

なんだか上司にはその辺りのニュアンスがうまく伝わってない気がする。

 

さて、5月の雑誌です!

月刊薬事

5月号の特集は「これならわかる診療報酬 新設項目から実務対応まで徹底解説!」

※Amazonのリンクが見当たらない…

月刊薬事 2026年5月号(Vol.68 No.7) – 株式会社じほう

薬局

5月号の特集は「患者をみる,処方を解く 咳アセスメント」

南山堂 / 月刊誌「薬局」 / 2026年5月 Vol.77 No.6

調剤と情報

5月号の特集は「薬局でできる予防的サポート 新生活のメンタルヘルス」

調剤と情報 2026年5月号(Vol.32 No.6) – 株式会社じほう

治療

5月号の特集は「【第1特集】解決! 在宅医療のお悩みポイント/【第2特集】ここまでわかった! 気象と体調不良」

南山堂 / 月刊誌「治療」 / 2026年5月 Vol. 108 No.6

見どころ

個人的に「気になる度」圧倒的No.1は「治療」の第2特集。

ここまでわかった! 気象と体調不良

頭痛とか関節痛とか、

気圧の低下などと関連があるだろうという話は聞きますし

自分の身体でも実感します。

ただ実際どこまで解明されているのかというと調べてもよく分からない。

目次を見る限り、気象病のメカニズムに始まり、

頭痛、耳疾患、脳血管疾患、小児疾患に関するコラムがあるようです。

さてさて、どんな内容かな。

そして「治療」はまたしても表紙のテイストを変えてきた。

でっかく「解決」と書いたデザイン、昔こんな消しゴム持ってたな…

手のひらぐらい大きいサイズで「合格」って書いてあるやつ。

消しピンで大活躍しました。

 

「月刊薬事」はこの5月号で診療報酬の特集を組むためには

いったいどんなスケジュール感で編集したんでしょうか。

編集者さん、執筆者の先生におつかれさまと言いたい。

 

気温の乱高下が激しい時期です。

熱中症に気を付けて、楽しい連休をお過ごしください!

あの日、大教室に女子は数人だった―「なぜ理系に女性が少ないのか」

工学部の受験会場で、

階段状の大教室に女子は数えるほどでした。

分かってはいたけれど、

これから私が進む場所はこういうところなんだ、と思い知らされた気がしました。

 

これは30年近く前の私のできごとです。

私はもともと工学部志望でした。
けれど最終的に進んだのは薬学部です。
日程の都合で1校だけ受けた薬学部に合格し、

「資格も取れるし、大好きな化学も学べるなら」と進路を変えました。

 

30年近く前のあの光景は、今はどう変わったのだろう。

ということで読んだのが「なぜ理系に女性が少ないのか」という新書です。

2022年時点で、

OECD(経済協力開発機構)加盟国中、日本の理系女性学生の割合はなんと最下位です。

工学・製造・建築領域では16%(OECD平均26%)、

自然科学・数学・統計学領域で約27%(OECD平均52%)。

私が大学を受験した頃と大きくは変わっていないようです。

 

この本では「なぜ理系に女性が少ないのか」という問いに対する答えを

様々な調査結果を使って示してくれます。

私自身のn=1のデータではないです。

 

まず、声を大にして言いたいのは

理系に女性が少ないのは「能力の違い」で説明できるものではない!

 

様々な要因が挙げられていますが、

この本を読んで私が特に印象に残ったのは次の3点です。

  1.  思い込みは幼少期に作られる
  2.  学問のイメージは社会が作っている
  3.  女子の進路は「自由選択」ではなく構造に影響される

1.思い込みは幼少期に作られる

「算数は男子のほうができる」という思い込みもすでに6歳くらいでできあがっている

衝撃じゃないですか?6歳って!

小学校に入るか入らないかの頃に、もうそんな意識があるとは。

周囲からの「女の子なのに算数ができてすごいね」という声かけで「女の子なのに」という言葉に気持ちを削がれて意欲が低下する

というのは今もありがちかなと思います。

2.学問のイメージは社会が作っている

バービー人形やリカちゃんはかつて算数が苦手という設定だった

リカちゃんは2023年に公式ツイートで必死に「算数苦手」のイメージを払拭しようとしています。

一方で物理といえば男性、物理といえば戦いや戦争、というイメージは再生産され続けています。

例えば仮面ライダービルド(2017年)。

主人公は天才物理学者です。戦いになると数式を書いて武器を開発する、という設定です。

3.女子の進路は「自由選択」ではなく構造に影響される

そもそも、高校で女子が物理を選択、しづらくなかったですか?

物理が選択できないと、工学部とかはだいぶ受けづらくなります。

化学だけでも私立だったら受けられるけどさ、

私の時代は国公立の大部分や早稲田・慶應は化学と物理の2科目が必須でした。

高校で物理を選べないと、国立や早慶は受けられない。

 

ただ闇雲に「理系の女性の人数を増やす」でなく、

「女性の理系進学を阻む要素を取り除く」がこれからの日本に求められています。

女性が誰の目も気にすることなく、自分の好きなものを好きって言える。

なぜ令和のこの時代にそれができないのでしょうか。

 

この本を読みながら、思いだして苦しくなったのが高校時代の科目選択です。

私の高校では高校2年で生物・物理・地学から1科目を選択することになっていました。

物理を選択すると、40人クラスに女子は3~5人くらい。

当時の私は、そのクラスに入る勇気がなく生物を選びました。

物理を選ばなければ受験できない大学があることは分かっていました。

それでも、物理を選ぶことができなかった。

だから物理は塾で独学を試みましたが、挫折しました。

 

そして化学のみで受けられる工学部を受験した日のあの光景。

分かってはいたけど、女子は圧倒的マイノリティでした。

 

さらに思いだしたのが「仮面ライダーゴースト」(2015年)のヒロイン。

(仮面ライダーネタばかりですみません、男の子の親でもあるもので…)

このヒロインは物理を学ぶ大学生でした。

「世の中の全ての出来事には必ず説明できる法則がある」が持論で、

怪現象を見ても認めない。

強気で正論ばかりぶちかます、理系ステレオタイプを絵に描いたような女の子なんです。

まー、かわいげがない!と思って途中離脱した作品なのですが、

「物理を学ぶ女子」がこういう風に見られてるんだな、

そして私もそんな女の子をみてかわいげがない!と思ってしまう

という事実が嫌だったんです。

 

一方で、私が進んだ薬学部というところは理系の中では比較的女性が多い領域です。

化学・物理・生物などを横断的に学ぶ内容ですが、なぜか女性が多い。

この本によると親が女子の進路として最も賛成しやすいのは薬学だそうです。

「資格が取れる」「ライフイベント後も復職しやすい」といったイメージに加え、

すでに女性のロールモデルが多いことも影響しているようです。

結局、学問のイメージなんて学問そのものでなく社会的にどう見られてるか、

で形作られているということがよく分かります。

 

でも、ちょっと待ってください。

日本薬剤師会、日本病院薬剤師会の会長に女性が就いたことはこれまでありません。

日本薬学会は140年以上ある歴史の中で昨年初めて、女性がトップとなりました。

女性が多い薬剤師や薬学部の世界でこれって、違和感ないですか。

 

そもそも薬学部って卒業までに6年かかるし、

晴れて薬剤師になれたとして、

日本という国はこれから薬剤師をどうしていきたいのかが昨今よく分かりません。

製薬会社とて今の薬価制度ではもう罰ゲームのような状態です。

「結婚・出産しても働ける」というメリットもいつまで続くか分かりません。

 

今まで薬学のおもしろさを散々書いてきた私ですが、

薬学だけでなく他の理系もおもしろいよ!

世間のイメージとか就職のしやすさだけで決めちゃうのはもったいないよ!

と言いたいです。

 

私が高校生だったのはもう30年近く前。

この本を読む限り、今も当時と状況は大して変わっていません。

一刻も早く、この本の内容が「昔の話」と言われるようになってほしい。

少なくとも、娘には「女の子には理系は向いていない」なんて意識を持ってほしくない。

強くそう願います。

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