本の紹介
AIに負けない医薬翻訳者になるために――
医薬翻訳の第一人者が丁寧に指導する「医薬分野の翻訳教室」。
英訳と和訳、それぞれワンランク上の訳文にするための70のポイントを紹介。
ポイントを生かした上で長文を訳す練習も。
医薬分野の翻訳志望者、現役の医薬翻訳者、必携の本。
学び方と訳し方のコツを知る 医薬翻訳教室 - イカロス出版 イカロス出版の本
目次
Part1 基礎編 医薬翻訳の基礎知識
Part2 基礎編 申請資料の表現を学び、訳すには
Part3 基礎編 和訳のコツ ワンランク上の訳文にする37のポイント
Part4 基礎編 英訳のコツ ワンランク上の訳文にする33のポイント
Part5 実践編 ニュースリリースの和訳にトライ
Part6 実践編 副作用に関する文章の英訳にトライ
この本の推しポイント
Part1の「必要な知識と資料&学び方」を読んだだけでも情報量十分。
それに加えてPart3以降では出典付きの豊富な例文。
さらにネットを活用するTipsの数々。
今年読んでよかった本ベスト3に入れます!
雑記
こんな本を手にとってはいますが、
実は今の業務ではあまり英語が必要ではないのです…
以前の業務では英語の文献を読むことは多々ありましたが、
正直、専門用語と論文の「型」さえ理解できてれば
あまり細かいニュアンスは求められない環境でした。
ただ、過去の転職の際に英語さえもう少しできればね…という案件があり
悔しい思いをしたことが何度もあります。
薬剤師+英語、しかも専門的な英語を使えるというのは
仕事の幅を広げるうえで大きな武器です。
TOEICとかビジネス英会話は専門書もスクールも数多あります。
でも医薬系の専門的な英語を学べる機会は多くない。
実践で手探りでやっていくしかないんでしょうか。
そんななか、必要な知識と資料、学び方を網羅的に説明してくれるこの本は
とてもありがたい存在です。
「必要な知識」はそもそも日本語で知識がありますか、という話です。
「資料」はICHガイドラインや局方、MedDRAなどに加えて
おすすめ辞書なども紹介されています。
「学び方」は具体的な資料をあげて、複数パターン紹介してくれてます。
そしてPart3とPart4では「表現をどう調べてどう訳すのか」という感覚的な部分が
具体的な文例をあげて説明されています。
「啓発」を辞書で出てくる「enlightenment」と訳してよいか?
という疑問に対してGoogleの検索結果から察する方法、とかです。
そんな細やかなテクニックが和訳37ポイント、英訳33ポイントも!
実践編はNIH(アメリカ国立衛生研究所)のニュースリリースを和訳してみよう、
重篤副作用疾患別対応マニュアルを英訳してみようというものです。
私の英語力が低すぎて特に英訳は手も足も出ず、という感じでしたが、
解説のところに必要に応じてPart3/4のポイント○を確認しよう、というマークがついてるんです。
めっちゃ丁寧。
全くの偶然で手にとった一冊でしたが、
今年読んでよかった本ベスト3に入ります。というか入れます。
薬剤師で、英語を仕事で使ってる人、使いたい人、
どちらにも超おすすめの本です。
よければこちらもどうぞ
私が前の部署で論文を読まなきゃ!でもどこから手をつければ!と
半泣きになったときに大いに参考にさせていただいた、
Earl先生の「英語論文を読むことをどうやって日課にするか」の記事です。
本書「医薬翻訳教室」でも、NEJMの抄録を活用する学び方が紹介されています。
日本語訳と原文が両方読めるのってすごく勉強になりますね。