白状すると、本来読みたかったのはタイトルが類似した別の書籍でした。
でもこれはこれで、読んでよかった。
私の子供のころの愛読書は家の本棚にあった「毒のある植物」という文庫本でした。
今から思えばあの本が化学物質や毒、植物に興味をもったきっかけだったのかもしれません。
薬学部に入ったあとも一番好きな授業は薬用植物学でした。
さてこの本、以下の6章から構成されています。
「第1章 注意!有毒物質をもつ身近な植物」
「第2章 人間以外の生き物に毒になる物質」
「第3章 毒が薬にも!植物から生まれたお薬」
「第4章 上手に摂ると役に立ってくれる植物たち」
「第5章 薬の効果を無効にしてしまう植物」
「第6章 長寿と植物」
なかでも読みごたえがあるのはやはり第1章。
特にジャガイモへの力の入れようがすごい。
ジャガイモの芽の部分に有毒な物質があるというのはよくご存じかと思います。
では、なぜジャガイモの食中毒事件の9割は家庭ではなく「学校菜園」で起こっているのか?
なぜ学校菜園で栽培されたジャガイモは有毒な物質を作るのか?
ジャガイモの有毒成分のソラニンってそもそもどんな薬理作用なのか?
毒を作らなくさせることはできるのか?
…と栽培の手順も含めて、熱く語りかけてくれます。
この熱量をもってほかの植物のことも語るのかと思いきや、ジャガイモ以外は意外とあっさりな説明です。
しかしジャガイモだけでもこの本を読む価値はある。
そう思わせてくれるジャガイモに関する冒頭の17ページです。
後半の薬に絡む部分は薬剤師の観点からするとあと一息物足りない気もするんだけど、
個人的に衝撃を受けたのが「グレープフルーツの消費が著しく減少している」の記載でした。
「若い人にはこの果物の名前さえ知られていないこともある」ってマジで?!
それは…昨年の薬剤師の国試に「スウィーティー」が出てきて皆さんが「知らねえよ!」ってぼやいてたわけですね…
グレープフルーツさえ未知の食べ物ならば…
グレープフルーツ、特にホワイトが大好きな私は寂しいです。
ふと気づけばスーパーでもグレープフルーツ売ってない?売っててもルビーばかり?!
GFJであればトロピカーナがほろ苦さが強くて好きです。