どの分野で働くとしても、薬剤師は広く能動的に情報収集すること、
また必要な時に必要な情報を迅速に検索できることが必要と私は考えています。
言い方がきついかもしれないですが、
「誰も教えてくれなかったじゃないか!」ではダメなんです。
本書で最もそれを実感できるのが、
第1節の「コデインリン酸塩」の小児投与リスク、いつから知ってた?です。
業務上、授乳婦への注意喚起のあたりから積極的に情報収集していたこともあり、
個人的に思い出深い案件です。
2010年にイギリスMHRAが危険性に関して注意喚起していたとの情報、
私が知ったのはNIHS医薬品安全性情報でした。
https://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly8/20101111.pdf
日本語に翻訳して解説してくれているうえに、さらに根拠文献も明示してくれてます。
海外で注意喚起されたというだけでは、厚生労働省から指示が無い限りは
メーカーからの能動的な情報提供は期待できません。
聞けば教えてくれるとは思いますけどね。
だったら自ら情報収集しに行くしかない。
本件は日本で小児への注意喚起が行われたのは2017年です。
7年間、知らないままでいるか知ったうえで仕事するかの差は大きいと思いませんか。
コデインの件は私は上記のタイミングで知ることができましたが、
他の分野ではまだまだ情報収集できてないはずです。
幅広くアンテナは張っておかないといけない、と心から思います。
この書籍は、実際にありそうなQuestionを題材に、
どんな資料を使って情報を探すのか、
また得られた情報をどう評価するのかが会話形式で読みやすくまとめられています。
構成も、添付文書やIFなどの基本的な情報の活用から、
PubMedの検索の仕方、文献の評価の仕方へと無理なく広げられるようになっています。
大事なのは、読むだけでなく実際に同じ情報を自分の手と目で確認すること。
この本は2019年に発行されているので、今PubMedを検索したら
違う情報が出てくるかもしれない。
ほんとに、20年前にこの書籍があったらよかったのになと思います。
先輩のやり方をこっそり見て真似して自己流で身に着けてきたものが
こんなに体系的に、しかも寝転んで気軽に読める書籍になってるなんて!
今は大学でそのあたりも教えてくれるんでしょうか。
だとするとピカピカの新人よりも、
卒業して少したって情報収集・検索テクニックを磨いてきた方が
情報収集・評価の手順を整理するために使うのがよいかもしれないですね。