患者さんの状況に涙する「外来・薬局感染症学」

感染制御や抗菌薬に関しては素晴らしい本や有名な本がたくさんあります。

ただそれらの多くが病院の視点から書かれたものでないでしょうか。

それを薬局だったら、と解釈してかみ砕いて理解していることが多いと思います。

 

この本はタイトル通り、薬局にフォーカスを絞って説明されています。

薬局ならではの感染対策、

処方せんと患者さんのお話から考える処方せんのチェックポイント、

最後にさらっと抗菌薬の基礎知識。

 

処方せんのチェックポイントは具体的なケースファイルを列挙して、

説明してくれています。

私がいいなと思ったのは、

まず基本的な症例(処方せん)を挙げて一通りの解説をしたあと、

「じゃあこれだったらどうする?」と類似の症例を挙げて

プラス1の解説をしてくれている点。

二段階を踏むことでより理解が深まります。

 

その症例の中で個人的に、

患者さんの状況を想像したら半泣きになりそうなのがありましてね。

授乳婦の項で紹介されてる症例です。

大雑把にいうと以下のような感じ。

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処方せんを持ってきたのは20代女性。彼女の母親がインフルエンザに罹患。

予防投与の処方箋を持ってきた。彼女には生後2週間の児がおり、授乳中。

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薬学的なアセスメントは本書をご確認ください。

 

生後2週間!

里帰りしてたのかそれともお母さんに来てもらってたのか、

そのお母さんがインフル!

生後2週間なんて退院して1週間と少し、疲れがピークの頃。

そんな時にお母さんがインフル!(もう1回言った)

よく…よく予防投与を思い出し、よく病院まで来たね…と

まずその点をねぎらってあげたい。

 

そんな具体的な症例がたくさんの書籍です。

 

個々の感染症をかみ砕いて

説明できるようになりたいときは、忽那先生監修の一般向け書籍がおすすめ。

A.R.Eも感染症「マンガでわかる感染症のしくみ事典」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

感染制御に強い組織作りだったら坂本史衣先生の2023年の書籍もおすすめ。

魔除けになる?「泣く子も黙る感染対策」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

 

フィクションで感染症の恐ろしさを感じたい方はこちらをどうぞ。

コロナを忘れつつある今こそ読む本-感染ミステリー- - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた