あらすじ
漢方娘×薬草園男子の恋。すこしフシギな町が舞台の、かわいい恋の物語。
「初恋を信じていたい。でも、出会ってしまった。」
2ヵ月前に地元に戻ってきた25歳の三久(みく)は、
祖父の漢方薬局「薬屋久兵衛(くすりやきゅうべえ)」を継ぐために修行中!
店を訪れるお客さんの体と心のお悩みに、時に漢方で、
時にはおしゃべりで、祖父とともに応える毎日。
その一方で、初恋を忘れられずにいる三久だったが、
植物好きの超人見知り青年・カナエに出会って彼のことが少しずつ気になり始め――?
本格漢方×大人の純情ラブ、開幕!
出典:祥伝社ホームページ
対象はこんな人
少女漫画を読むのに抵抗がない人。
「初恋」とか「運命」とかそういうキーワードを甘酸っぱい思いで見られる人。
感想
このブログでは初めて、マンガのレビューです。
漢方薬局が舞台でカナエくんは薬剤師免許を持ってる大学院生ではあるのですが、
そんなに薬がからむわけではないです(笑)
あくまで漢方・植物園モチーフの漫画なだけ。
それでも!「薬屋久兵衛」の生薬標本が並ぶ棚だったり、
背景に百味箪笥がある様子なんかはまさに漢方薬局。
おじいちゃん(現・店主)が脈診や舌を見る様子なんかはいかにも熟練の漢方相談、
という描き方がされています。
この連載が始まった2014年は登録販売者の受験にはまだ実務経験が必要で、
薬剤師免許を持っていない主人公の三久は実務経験を積んでいる最中、という設定です。*1
しかし実務経験とは神農さまや白澤を磨くだけでいいのか…(主人公も作中で言ってる)
登場人物がみんな個性的かつ魅力的で、
話の展開が早くて気持ちよく進んでどんどん読めちゃいます。
薬剤師の観点からは上述の漢方薬局の描写以外にも、
重要なキャラクターの「魔女」の薬草園がとても素敵なんです。
読んでると久しぶりに薬用植物園とかハーブ園とか行きたくなっちゃう。
作者のねむようこさんの描く植物の絵が怪しくて魅力的です。
2017年に完結してるので、一気読みもできますよ。
薬は関係ないですけどね。
よければこちらもどうぞ
- 「薬剤師,薬学の登場するマンガ,コミックの歴史」薬史学雑誌 55(2),241-244(2020)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhp/55/2/55_241/_pdf
薬史学雑誌って普段あまりなじみがない雑誌だけど、これはすごい。
「薬屋のひとりごと」から「薬師アルジャン」、「のらくろ」までカバーされてます。
これに載ってないのは今回取り上げた「三代目薬屋久兵衛」と「処方箋上のアリア」くらい?
魔女の薬草園つながりでいかがでしょうか。
*1:2015年4月1日以降は学歴と実務経験不要、合格後に実務経験が必要