最近の薬はつまらん!「思わず話したくなる社名&商品名の謎」

本のそでから

トンボ鉛筆には、なんでトンボが付くの?

象印マホービンはなんでゾウ印?

アツギって、厚木のこと?

グンゼって、どういう意味?

8つのつながりで社名の謎を解く!

目次

  1. 意外に知らない社名の由来
  2. まだまだ続く社名の由来
  3. なぜか気になる商品名・キャラクター名の由来

こんな人におすすめ

小ネタ好きな人

医療用医薬品のインタビューフォームで「名称の由来」を見るのが好きな人

感想

医療用医薬品の新製品発売の説明会のとき、

かつては「名称の由来」が必ず入っていたように思います。

タケダのプロトンポンプインヒビターだから「タケプロン」とか。

キープ(維持)+レスト(寛解期)で「キプレス」とか。

各社いろんな知恵をしぼってつけてましたね。

ジェネリックなんて元の商品名や成分名を想像させてみたり、

だじゃれを入れたりやりたい放題でした。

 

それが昨今はどうでしょうか。

令和6年6月に承認された新医薬品のIFから「名称の由来」をみてみましょう。

  • ブリィビアクト錠・静注(UCB):該当資料なし
  • アウィクリ注(ノボノルディスク)、ジャイパーカ錠(イーライリリー)、オムジャラ錠(GSK)、ハイイータン錠(海和製薬):特になし
  • ブイタマークリーム(日本たばこ産業):海外における商品名「VTAMA」の表音から命名した。
  • ファビハルタカプセル(ノバルティス):補体 B 因子阻害剤(fab:factor B inhibitor)と補体第二経路(alta:alternative complement pathway)の強い関係を表している
  • ザビセフタ点滴静注(ファイザー):β-ラクタマーゼ阻害剤のアビバクタム(Avibactam)がセフタジジム(Ceftazidime)に加わることを表現して命名された。 
  • リブテンシティ錠(武田):"Living with Tenacity"を示唆する造語
  • タイフィム ブイアイ注(サノフィ):海外の名称に準じた

 

みんなまじめ。

アウィクリ注は週1回投与だから「a weekly」じゃないんかい!と思いますが、

IF上では「特になし」。

ジャイパーカは某国民的アニメのオレンジ色の服を着た暴君を想像させますが、

IF上では「特になし」。

昔はもっとダジャレとかひねってた気がします。最近の薬はつまらん!

ただ時代は変わり、新薬承認の多くを外資系が占めるので

ダジャレとか言ってる場合じゃないですね。

 

今日紹介するこの本は少し古いですが、

様々なメーカー名や商品名の由来がまとめられています。

焼きそばのペヤングは「ペア」+「ヤング」とか。

コンタクトレンズメーカーのメニコンは「目にコンタクトレンズ」が由来とか。

 

薬剤師になじみぶかいところでは薬の名前、主にOTCが紹介されています。

カコナール」が葛根湯+治るは有名ですね。

ジキニン」はCMでも「じきに治って」って言ってる。

 

いかにも昭和のニッポン!という感じなのが、

頭痛薬の「ノーシン」や「ナロン」。

「脳神経薬」と「脳がしーんとする」でノーシン、

「早くよくなろう」の「なろう」をもじってナロン。

 

時代を感じるのがウナコーワ

昔「至急電報」を「ウナ電」と呼んでいたから

「早く効く」という意味で「ウナ」が付いたそう。

 

意外にふざけた名前だったのがチョコラBB

エーザイ創業者がチョコレートを主剤にしたコーラ飲料を発売しようと考えて

「チョコレートコーラ」という名前を考案(実際には販売されず)、

そこからチョコラと名付け、Bが2つでビタミンB2を表してチョコラBB

エーザイは創業時の社名が「日本衛材」だっただけあって、

昔は手広く事業展開していたみたいです。

昔、会社にとんでもなく古い消火器があって

中身が何なのかも不明なので調べたらエーザイ製だったことがあります。

 

この本にはこんな小ネタが延々と記載されています。

好きな人はたまらなく好きなはず。

巻末には「日本の有名企業664社の社名の由来大事典」として、

各社の創業者、創業年、由来が一覧になっています。

2003年の本なのでもう今はない社名がちらほら…

万有製薬三菱ウェルファーマ山之内製薬とかなつかしいですね。

 

製薬業界は会社も合併などで無くなり、

歴史ある製品も販売中止などで消えていくことが多々あります。

それぞれの製品に歴史や蓄積されたデータがあり

販売中止でそれらが失われるのはとても惜しいなと思います。

薬剤師として地味に困るのは、

先発品が販売中止してしまって後発品だけが残るパターン。

後発品は物理化学的なデータや配合変化データをあまり持っていないことが多いので、

先発品のデータを参考にすることも多いかと思います。

販売中止するとIFとかもweb上ではすぐに確認しづらくなるのが残念です。

 

商品名の小ネタを楽しみつつ、今後の長期収載品の行方を憂う秋の朝でした。

 

マイコプラズマ肺炎が猛威を振るっていますので皆さまもお気をつけて。

よければこちらもどうぞ

  • 個人的に口に出したい薬の名前No.1は「ポリドカスクレロール」・

アンタブス?アンタビュース!「声に出して読みたい理系用語」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた

  • こちらは一般名の名称の付け方。江戸川区で開発されたから「エドキサバン」。

ポピドン?ポビドン?「薬の名前には意味がある」 - 薬剤師がマインドマップ風に読んでみた